明治大正埋蔵本読渉記

明治大正期の埋もれた様々な作品を主に国会図書館デジタル・コレクションで読み漁っています。

明治中期

『血染の革包:探偵講談』 山崎琴書

血染の革包:山崎琴書 1896年(明29)駸々堂刊。 講談師、山崎琴書(きんしょ、1847~1925)の口演速記本の一つ。明治中期から後期にかけて探偵講談と称する探偵活劇の速記本を多く出版した。言い方によっては口述筆記スタイルの探偵作家とも言える。講釈師…

『大蛇美人』 島田美翠

大蛇美人:島田美翆 1896年(明29)駸々堂刊。(新撰探偵小説第9集) (だいじゃびじん)明治20~30年代に流行した最初期の探偵小説の一つ。大阪の大手版元の駸々堂から春陽堂の向うを張って小冊子の形で続々と出版された。作者の島田美翆は柳川とも号…

『悪美人』 渡辺霞亭(?)

悪美人:渡辺霞亭(?) 1895年(明28)日吉堂刊。 この作品はNDLのデジタル・コレクションで偶然に見つかった。表紙の次にいきなり本文が始まり、故意か過失か、作者名が表記されるはずの中表紙もなかった。しかも最後尾の奥付にも著者名は省かれていた。想…

『小林清親 東京名所図』 小林清親

小林清親 東京名所図 2012年(平24)二玄社刊。《謎解き浮世絵叢書》の一冊。 幕末の北斎や広重の大人気のあと、明治維新以降の日本の風景画(版画)については、せいぜい文明開化の様子を描いた錦絵ぐらいしか記憶していない。 偶然にもNDLイメージバンクの…

『怪談驟雨』 蛙声庵主人(浅見俊雄)

怪談驟雨:蛙声堂主人 1889年(明22)吉田博声堂刊。 (くわいだん・にはかあめ)副題として「一名:四つ手の尼」と出ているので最初から化物譚だろうと想像がつく。作者は蛙声庵(あせいあん)主人となっているが、京都の新聞社の作家記者と思われる。当初…

『黄薔薇』 三遊亭円朝

黄薔薇:三遊亭円朝 1887年(明20)金泉堂刊。 1926年(大15)春陽堂、円朝全集 巻の七 「欧州小説・黄薔薇」(くわうしやうび/こうしょうび)と銘打っての口演速記本なのだが、当時まだ聴衆や読者には西欧の事物について見聞きしたことがない人がほとんど…

『鹿鳴館』 富田常雄

鹿鳴館:富田常雄 1946年(昭21)8月~11月、雑誌「りべらる」連載。 1951年(昭26)講談社刊、「猿飛佐助」(講談社評判小説全集第5)所収。 1955年(昭30)平凡出版刊、「薔薇の紘道館」(平凡映画小説シリーズ)所収。 1964年(昭39)双葉社刊、「明治の…

『八百屋お七恋廼緋鹿子』 翁家さん馬

八百屋お七恋廼緋鹿子:翁家さん馬 1893年(明24)駸々堂刊。 (こいのひがのこ)明治中期には円朝をはじめとする口演速記本が人気を呼んでいた。翁家さん馬(おきなや・さんば)も江戸時代から続く落語家の名跡で、この時期は5代目さん馬の盛期に当たる。…