明治大正埋蔵本読渉記

明治大正期の埋もれた様々な作品を主に国会図書館デジタル・コレクションで読み漁っています。

明治中期

『怪談驟雨』 蛙声庵主人(浅見俊雄)

怪談驟雨:蛙声堂主人 1889年(明22)吉田博声堂刊。 (くわいだん・にはかあめ)副題として「一名:四つ手の尼」と出ているので最初から化物譚だろうと想像がつく。作者は蛙声庵(あせいあん)主人となっているが、京都の新聞社の作家記者と思われる。当初…

『黄薔薇』 三遊亭円朝

黄薔薇:三遊亭円朝 1887年(明20)金泉堂刊。 1926年(大15)春陽堂、円朝全集 巻の七 「欧州小説・黄薔薇」(くわうしやうび/こうしょうび)と銘打っての口演速記本なのだが、当時まだ聴衆や読者には西欧の事物について見聞きしたことがない人がほとんど…

『鹿鳴館』 富田常雄

鹿鳴館:富田常雄 1946年(昭21)8月~11月、雑誌「りべらる」連載。 1951年(昭26)講談社刊、「猿飛佐助」(講談社評判小説全集第5)所収。 1955年(昭30)平凡出版刊、「薔薇の紘道館」(平凡映画小説シリーズ)所収。 1964年(昭39)双葉社刊、「明治の…

『八百屋お七恋廼緋鹿子』 翁家さん馬

八百屋お七恋廼緋鹿子:翁家さん馬 1893年(明24)駸々堂刊。 (こいのひがのこ)明治中期には円朝をはじめとする口演速記本が人気を呼んでいた。翁家さん馬(おきなや・さんば)も江戸時代から続く落語家の名跡で、この時期は5代目さん馬の盛期に当たる。…