明治大正埋蔵本読渉記

明治大正期の埋もれた様々な作品を主に国会図書館デジタル・コレクションで読み漁っています。

『新聞小説史』(昭和初期・昭和中期)高木健夫

新聞小説史(昭和初期):高木健夫

1976年(昭51)11月~1978年(昭53)2月「新聞研究」304号~319号に〈昭和初期〉を連載。

1978年(昭53)3月~1981年(昭56)4月「新聞研究」320号~357号に〈昭和中期〉を連載。

明治篇から通算すると131回の連載だった。文字通りのライフワークだったと思う。昭和中期篇が戦後10年経過した昭和30年頃までで途切れてしまったのは残念としか言いようがない。特にこの昭和の時期に関しては、著者自身も新聞社を渡り歩きながら、直接・間接に作家たちあるいは連載担当者たちとの交流を重ねたこともあり、作品を新聞に連載させるまでのウラ話などにもリアルで感興を誘うものがあった。作家や記者たちの回想を長く引用することも多く、新聞小説と自ら線引きしながらも、これほどまでに日本文学史そのものの流れの全貌を興味を持って展望できたことはなかったように思う。貴重な文学資料であるが、大著でもあり、NDLデジタルコレクションで少しずつ通読できたことは幸運であった。☆☆☆☆☆

 

新聞研究320:1978.03

国会図書館デジタル・コレクション所載。個人送信サービス利用。

https://dl.ndl.go.jp/pid/3360863/1/27

https://dl.ndl.go.jp/pid/3360916/1/34

 

《千葉(亀雄)は新聞社の幹部の中でも、当時の作家たちが、純文学を高しとし、大衆文学を卑しとする傾向のなかで、なんとかして、大衆文学に市民権を得させたいと努力していた先覚者であり、まさに文字どおりの大衆文芸作家の発掘者であり、名伯楽であった。》(昭和中期30:新聞研究349号)

 

《わたしが、明治いらいの、新聞小説の成功した例をみるごとに、いつも感ずることは、新聞社の幹部と作家との人間関係の強弱、深い浅いが、いかに作品の出来、不出来に大きな関係をもっているか、ということである。》(昭和中期36:新聞研究352号)

 

 

新聞小説史(明治篇)』 高木健夫

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新聞小説史(大正篇)』 高木健夫

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