翻訳・翻案物
1893年(明26)今古堂刊。前後2巻。原作は明記されていないが、フランスの新聞小説(フィユトン)作家、おそらくボアゴベかガボリオと思われる。パリを舞台とした探偵・追跡劇だが、丸亭素人(まるてい・そじん)も涙香と同様に、人物や地名を和風に置き換…
1893年(明26)春陽堂刊。探偵小説第6集。明治中期の第1次探偵小説ブームの影響で売れなくなった硯友社の作家たちへ春陽堂が話を持ちかけ、匿名を条件に探偵小説の翻訳もしくは執筆を依頼したもの。真の作家名は不明のままで残されたものが多く、文体はし…
1891年(明24)都新聞社刊。黒岩涙香の翻案物の一つ。原作はボアゴベ(Fortuné du Boisgobey) の新聞小説「真っ二つのジャン」(Jean coup-en-deux)。登場人物は日本人名に置き換えているが、パリが舞台なのはそのままである。殺人現場にいた男は警察に捕えら…
1890年(明23)明進堂刊。黒岩涙香がフランスの流行作家ボアゴベ(Boisgobey)の作品「他言無用」(Bouche cousue)から抄訳し、登場人物を日本名に、また環境設定を明治の日本に置き換えた翻案物の一つ。隣室での殺人現場を覗き見した女性に対する悪人たちから…
1913年(大2)磯部甲陽堂刊。これは英国の推理小説を三津木が翻訳したものだが、当時は原作や作者名を明記しない方が多かった。地名、人名も和風に言い換えている。文体はよく練れており、単純明快で読みやすい。しかしながら特に英国物は謎解きやトリック破…
1919年(大8)玄文社刊。一言で言えば「仙台の半七捕物帳」。作者の松居松葉(まつい・しょうよう)は本来劇作家だが、洋行して英仏独の語学にも長け、翻訳にも取り組み、小説も書いた。ほぼ同年代の岡本綺堂が同じ劇作家ながら書いた「半七」の成功に刺激を…
(うらみのかたそで)1893年(明26)春陽堂が出していた袖珍探偵文庫シリーズの第12集。探偵小説が盛んに読まれていた時期に、力量のある硯友社の作家たちに文学的香りのする探偵小説を匿名で書いてもらうことを持ちかけたのが成功し、大いに売上を伸ばした…
1913年(大2)刊。磯部甲陽堂ミステリー叢書3。「ルパン対ホームズ」の2つ目の中篇「ユダヤのランプ」を訳したもの。ただし登場人物は日本人名に直している。ルパンは「有村龍雄」、ホームズは「堀田三郎」、ワトソンは「和田」、ガニマールは「蟹丸」な…