1957年(昭32)1月~1958年(昭33)7月、雑誌「小説倶楽部」連載。
1958年(昭33)桃源社刊。
いわゆる「金さん」もの。江戸町奉行として歴史に名を残す遠山金四郎が青年時代に家を飛び出して、町屋に住み、遊び人として賭場に出入りしたり、用心棒になったり、岡っ引の手伝いをしたりと、自由に想定を膨らませて作りあげた人物像を活躍させたもの。何人もの作家が作品を書いている。山手樹一郎もこれで単行本としては3冊目になる。船宿「遠州屋」の二階に居候して、家娘のお玉とは夫婦同然の暮らし。前の巻から続く悪党たちの奸計と闘いながら、捕物帳まがいの推理を働かせて謎を解くパターン。シリーズに馴染んでくると、人物たちが勝手に動いてくれるような心安さになるが、マンネリ感は否めなかった。☆
国会図書館デジタル・コレクション所載。個人送信サービス利用。
https://dl.ndl.go.jp/pid/1790624/1/36
https://dl.ndl.go.jp/pid/1668528
雑誌連載時の挿絵は志村立美。
志村立美の挿絵は時おり線画風もしくは木版画風な繊細さのものもあって興味深かった。
《ただ金さんがこのごろ、ふしぎに思うのは、人間はどんなに境遇が変っても、結構そこにする仕事もあれば生甲斐もあるということだ。》(飛んだ拾い物)
*参考過去記事: