1920年(大9)大川屋書店刊。この版元ではジャンル別に袖珍本を「○○文庫」と名付けて発刊していた。特に悲劇小説、女性路線については「柳文庫」と呼ばれていた。タイトルが「恋の魔風」という作品は当時少なくとも3点の同名異話のものがある。他に小杉天外の「魔風恋風」もある。作者の水島尺草は生没年不明だが、幸田露伴に師事した女流作家で、水島佐久良(さくら)という筆名でも活動していたようだ。
明治の家父長制下においては特に女性の結婚問題について父親の同意が必要とされ、若い男女の好むがままの婚姻は容易ではなかった。また女性の社会的な門戸も限られた。少女小説のような悲哀の連続で、唯一の救いは生母への墓参のみというのも割り切れない。☆☆
国会図書館デジタル・コレクション所載。口絵は鈴木綾舟。
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