1936年(昭11)大京堂書店刊。
実在した警視庁の名探偵、正力聰之助(そうのすけ)の活躍を記述する10篇。筆者の大久保北秀(ほくしゅう)も警察関係者だった模様。聰之助の口述を北秀が書きとめたものだが、ほとんど実録に基づいていて迫真性がある。苗字は異なるが警視庁捜査課の警部として小泉聰之助という名前は専門誌の「月刊警察」や「捜査研究」にも何度か登場している。探偵読物としても筋立てや構成に工夫が見られて、引き込まれるような手際良さがあった。圧巻は怪盗鼬の権次の捕物劇で、震災前の浅草十二階や非合法に実在したアヘン窟のことなど興味深かった。☆☆
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