講談物およびその類書
(ながれのしらたき)1893年(明26)日吉堂刊。橘屋円喬(たちばなや・えんきょう)は明治の落語家で、三遊亭円朝の弟子にあたる。語り口の名人ぶりは円朝に比肩するほどだったというが、速記本としてはこの一作しかデジタル・コレクションには見当たらない…
1902年(明35)三新堂刊。泥棒伯圓の弟子の一人、松林伯知(しょうりん・はくち)の講談速記本。山王とは現在の都心にある山王日枝神社で、江戸時代は氏神として祀られていた。付近に越後村上藩の内藤氏の屋敷があった。ある時この地で怪猫に惨殺される事件…
1910年(明43)立川文明堂刊。大阪の版元、立川文明堂(たつかわ)は講談を青少年向けに書き下ろした「立川文庫」を明治末期から大正時代に200点ほど発行して一世を風靡した。その題材の源泉は玉田玉秀斎(3代目)が抱えていた。彼は関西で活躍した代表…
(だっきのおひゃく)1997年(明30)金桜堂刊。前後2巻。初代桃川如燕(じょえん)の口演を速記した講談本。1月から断続的に2カ月かけて通読した。姐妃(だっき)とは古代中国の殷王朝の王妃の姐己といい、その容色で王朝を滅亡させたと言われる人物。江…
1889年(明22)駸々堂刊。作者の香川宝州は生没年など不詳。別に遠塵舎とも号した講談師だったが、これは口演の速記本ではなく、自前で書き下ろした作品ということになる。題名の「檮衣声」(とおきぬた)は唐の詩人李白の「子夜呉歌」にある《萬戸檮衣声》…
1894年(明27)三友舎刊。講談速記本。演者の松林伯知(しょうりん・はくち)は松林派の高弟で、伯円に続き非常に多くの講談本を出した。明治中期頃の最初の探偵小説ブームでは近代的な題材の探偵講談も行われ、講談師自身が創作したものもある。これはその…
(てんぽう・かいそでん)1997年(明30)大川屋書店刊。上下2巻。江戸時代の有名な義賊・鼠小僧治郎吉の一代記を名講談師・松林伯圓(しょうりん・はくえん)が口演したのを速記した本になる。この他にも白浪物という怪盗たちを演題に上げたのが当時の聴衆…
1909年(明42)島之内同盟館刊。この版元は大阪で講談本を主として刊行していた。山崎琴書(きんしょ)は講談師で、当世風の探偵講談も数多く手掛けた。人名のタイトル(特に女性の)をつけることは明治期には流行していたらしい。容姿端麗、立ち居振る舞い…
(ひとのうらみ)1915年(大4)樋口隆文館刊。前後終篇全3巻。作者(ゆきとも・りふう)は劇作家としても知られたが、この作品は「書き講談」のスタイルで語り口はなめらか、テンポも快い。江戸歌舞伎の花形、初代および二代目市川団十郎の芸道の事績と生き…
1912年(明45)実業之日本社刊、全9篇。書名から想像すると「明治時代の家庭向けの新しい講談集」だろうと思ったが、題材はいずれも江戸時代の出来事で、武士の妻女に関する逸話集のようなものだった。中でも印象に残ったのは、最初の「誉の夫婦」伊達藩の…
1898年(明31)駸々堂刊。(びじんとぴすとる)探偵小説叢書28集。明治中期になると探偵小説が人気を集め、各社からシリーズを組んで盛んに出版されるようになった。欧米の推理小説に比べればまだまだ物語としての骨組みが稚拙だが、犯罪の発生から犯人の逮…
1918年(大7) 樋口隆文館刊。講談速記本の一つで怪談話の部類。正続2巻。演者の浮世亭夢丸は昭和期の関西の落語家の名前でもあるのだが、この本の出版はそれよりも年代が古く、まったくの別人と思われる。講談師としての情報は、明治末期から大正時代までの…
1899年(明32)盛陽堂刊。講談師・伊東陵潮(りょうちょう)の口演を速記したいわゆる講談本。上下2巻で読み応えがあった。所謂化け猫の怪談話の一つである。九州久留米藩の有馬氏の江戸屋敷で、狂犬に追われた猫を助けた腰元お滝が当主の側室に召し上げら…
(しんめおとづか)1925年(大14)樋口隆文館刊。作者の安岡夢郷(むきょう)は講談師出身を思わせる語り口で文体がなめらかで読みやすい。時は元禄時代、大阪、難波新地の芸者お艶が質屋の御曹司を見染めたことが発端で、身勝手にも和歌山の在に駆け落ちす…
1912年(大1)樋口隆文館刊。先日読んだ「鱗與之助」の続編になる。乳守(ちもり)とは地名で、大阪府堺市の昔遊郭があった一画を指す。その街道沿いの馬喰の娘お仙がタイトル名となっている。與之助の波乱万丈の物語が続く。彼は時化の海から廻船明神丸に…
(うろこ・よのすけ)1912年(大1)樋口隆文館刊。作者の如鬼坊(中村兵衛)は当時の神戸又新日報の記者だったというが、生没年他もほとんど不詳。下総・印旛村の庄屋の息子與之介が印旛沼の主とされた大鯉の助命を願ったため、神通力(透視力)を授かり、…