2025-12-01から1ヶ月間の記事一覧
まだら頭巾剣を抜けば:柴田錬三郎 1957年(昭32)同光社出版刊。 いわゆる「怪傑頭巾物」の中篇2つと『剣豪にっぽん』などの短篇3つを収める。書名タイトルは最初の『乱れ白菊』の惹句でしかない。葵の御紋を散りばめた頭巾を被る謎の剣士「まだら頭巾」…
自殺を売った男:大下宇陀児 1958年(昭33)光文社刊。 薬物中毒者のヤクザな男、四宮四郎が一人称で語るミステリー。生きている意味が見出せないと感じて、彼が伊豆で自殺を図った矢先に、別荘に来ていた社長令嬢に助けられ、自邸の下男兼犬係になる。ある…
幽霊旅館:押川春浪 1907年(明40)本郷書院刊。 『海底軍艦』で有名な押川春浪(1876~1914)による冒険怪奇譚集。表題作『幽霊旅館』の他、中篇『巌窟の海賊』と短篇8作を収める。彼はすでに24歳で代表作『海底軍艦』を著し、その後は雑誌編集者を兼務…
薔薇の木にバラの花咲く:芝木好子 1958年(昭33)6月~1959年(昭34)8月、雑誌「新婦人」連載。 1959年(昭34)光文社刊。 1966年(昭41)東方社刊。 タイトルは「薔薇ノ木ニ 薔薇ノ花サク ナニゴトノ不思議ナケレド」という北原白秋の詩に拠っているとい…
獣の通る道:中村八朗 1958年(昭33)光風社刊。 主人公の鹿沢は、新宿の歓楽街にある喫茶店でバーテンとして働き、終業後は柔道場で汗を流す真面目な青年だが、人に話せない暗い過去があった。新宿は暴力団がはびこる無法地帯で、喫茶店がチンピラがたむろ…
可憐嬢:篠原嶺葉 1906年(明39)~1907年(明40)大学館刊、正続全2巻。 ヒロインのタマエは、駐仏国公使栗栖伯爵とパリの女優ビロンとの間に生まれた庶子だった。父公爵は国命で日本に帰り、母娘はパリで暮らしていた。嗣子のいない公爵は正夫人の死後、…
瓢人先生:八田尚之 1946年(昭21)~1947年(昭22) 雑誌「談論」に断続的に連載。 1948年(昭23) 談論社刊。 1951年(昭26) 春陽文庫 雑誌「談論」表紙:牧野虎雄・画 瓢人先生(ひょうじんせんせい)とは戦前戦中期に帝展の審査員を歴任し、美大の教授…
えくぼ人生:中野実 1956年(昭31)東京文芸社刊。 1963年(昭38)春陽文庫 ドタバタ喜劇の一品。終戦直後の中野実の作風は人間の生き方を問い直すような深みが見られたが、戦後10年を経た復興期に入ると、世相のゆとりとともに軽妙なコメディを量産するよ…
幽霊沼の黄金:三上於菟吉 1957年(昭32)同光社出版刊。 隠匿された由井正雪の軍資金百万両をめぐる人々の争いを描く三上於菟吉の伝奇小説。タイトルから見ると怪奇趣味と宝探しの安っぽい時代劇を思わせるが、四季の移ろいや風物描写に味わいがあり、さら…
春を知らぬ女:大林清 1955年(昭30)東方社刊。 1949年(昭24)8月~12月、雑誌「りべらる」連載。元のタイトルは『産婦人科医』 表紙のタイトルには「を」が入っているが、本文では『春知らぬ女』で奥付までそれで通っている。表題作の他、中篇『女医』と…